筋膜リリースを解説します。

浅筋膜と深筋膜の違い

筋膜リリースでもっとも大切なこと

一般的な筋膜リリース方法とkatakori LABSの筋膜リリースに分けて説明してまいりました。

ここで、ほとんどの方が誤ったイメージをお持ちになるのが「頑固なコリには強い力が必要」という認識です。ガッチガチに凝り固まったものをほぐすには強い力が必要な場面は日常多々ありますが、人体の場合は別なのです。

あらゆる筋膜リリース方法で共通する大切なこと。それは力加減です。

力加減に注意しなければ筋膜リリースやっても逆効果

皮下脂肪内にある浅筋膜は結合組織の中でも強度の弱い疎性結合組織です。とても傷つきやすい繊細な組織です。傷がつけば炎症を起こします。痛みとして自覚がなかったとしてもです。炎症=痛みではございません!!繰り返しの炎症は、組織の線維化を招く可能性もあります。

癒着やコリを解消するのは強い力ではない

深筋膜は外から強い力が加わった際には、筋肉など内部に収まる器官を守る働きがあります。人体は外部からの刺激に対して適応します。足の裏で常に体重のかかる部分は皮膚が分厚くなっていますよね。日頃のケアとして頻繁に強い力でゴリゴリやることは、筋膜自体を分厚く硬く変化させていってしまう可能性も否定できません。強いマッサージを受け続けることによって癖になってしまうようなものです。

筋膜リリースは筋膜の形状を変える手法ではありません。あくまでも筋膜リリースは筋膜の本来持っている機能を取り戻すための技術です。

デスクワークで何時間も座っていたとしてもお尻の形は変わりませんし、就寝時に長時間横になっても起きたら接地面が真っ平らになってしまうなんてことは起こりえません。

ボディスーツとしての防御力・剛性を備える筋膜は、皮膚の上からちょっとやそっと力を加えたところで形状を変化させることは困難です。ましてや異常となっている部分はさらに硬くなっている訳です。ですので、浅筋膜等の疎性結合組織以外は外から力を加えても形を変えることはできません。

解剖学・生理学の観点からいえば、初期段階の治療やセルフケアとして行う筋膜リリースは組織を傷つけないということを第一にソフトな力でやるべきです。痛い=効く、という間違った認識の方が多いため、力んで行いがちです。器具をつかってケアをする際はゴリゴリと深部に刺激をいれるのではなく、コロコロとやさしく皮膚に刺激をする気持ちで行いましょう。

強い力が必要な場合もありますが、高度な技術が要求されます

筋膜リリースは力加減が大切ですが、ソフトにやってもどうしようもない場合、機能異常が慢性化して形態の異常になってしまっている(線維化)状態ですと水分補給をしても回復しません。

これを根本的に改善するには一度組織を破壊してリモデリングを期待するしか方法がありませんが、完全に治る可能性は高くありません。線維化により別の結合組織に変わってしまった場合はリモデリングがなされないためです。

セルフ筋膜リリースを強い力で行なってはいけません

リモデリングには鍼や注射がよいわけですが、徒手または器具を強い力で行うことが功を奏する可能性はあります。一度破壊するという目的は同じためです。ただしこれには専門的な知識と技術が必要です。炎症を起こさせるのでリスクもあります。闇雲にやるのはかえって状況を悪化させる可能性大です。セルフでうまく行うのはほぼ不可能です。ご自身で筋膜リリースを行う際は、必ずソフトな力で行いましょう。思うような効果が得られない場合は必ず専門家に相談してください。

体を支えているのは筋肉です

人体を支えているものは?と聞かれたら骨という回答がほとんどだと思いますが、骨ではありません。骨だけで骨格をキープは不可能です。

家やビルは鉄骨や柱が支えていますから、人間でいうところの骨が支えているように思えますが、建造物と人間は根本的に異なります。最大の違いは、静止しているものと動くものという違いです。建造物は骨組みだけでも自立できますが生物は骨だけでは自立できません。恐竜の骨だけの展示物は、骨だけでは維持が不可能なので天井から吊るしたり下から支えたり見えないように金属のプレートのフレームを入れ込んだりと大変な技術が投入されています。

動物のカラダを支えているのは骨ではなく、骨を支えている筋肉、具体的には筋肉を覆っている筋膜たちです。これはとても重要なポイントです。骨の位置をコントロールしているのは筋膜ふくめ筋肉なのです。筋膜が第二の骨格と呼ばれるのは、このためです。

骨が歪んでいるから肩がこる、といった歪み矯正すればなんでも治る理論は無意味です。骨を整えても筋肉は整いません。筋肉を整えれば、骨に異常がない限り骨は整います。

骨と同様、内臓も単独では位置をキープできません。肺や肝臓・胃・腸といった内臓が体内で位置を保っているのは内臓を覆っている筋膜のおかげです。身体中に張り巡らされている筋膜は、それぞれがもつ張力(テンション)が互いに機能しあうことでカラダを支える構造になっています。この構造は建築で必要な構造力学と同じです。

肩こりラボは筋肉のプロフェッショナルです

「筋肉」と聞くと赤身の肉の部分(筋線維)をイメージされることでしょう。

実際は、肉=筋線維の部分だけでなく神経、血管、筋膜で1セットです。筋線維・神経・血管・筋膜の4つで筋肉として機能します。これらはどれか一つでも欠けたら筋肉として働きません。

筋膜の中にも血管やリンパ管・神経が通っており、老廃物の排泄といった機能はもちろんのこと痛みのセンサーとしての役割があります。そのため筋肉の痛みは筋肉ではなく筋膜という説明をよく目にしますが、そういう分け方をしたら全て筋膜という単語だけで説明がついてしまいますので肩こりラボでは筋膜と筋肉は分けて考えておりません。なぜかといいますと、筋繊維一本一本を覆っているのも筋内膜という筋膜であり、筋繊維の束を覆っているのは筋周膜という筋膜です。さらにそれら全体を包んでいるのが、当ページでメインとしてあつかっている深筋膜です。あくまでも筋肉の外側・内側にあるのが筋膜です。

お店にならんでいる精肉や解剖書の筋肉をみると肉(筋線維)の部分しか見ることができませんが、これらは神経、血管、深筋膜をきれいに取り除いている状態なのです。

筋肉の治療のためには、「肉=筋線維」の部分だけでなく、神経・血管・筋膜へのアプローチが必要不可欠です。

肩こりラボでは神経・血管・筋膜・筋線維をひとつの単位とし、それを「筋肉」と考えています。肩こりラボは筋肉の治療院です。

筋膜リリースを行うプログラム

肩こり・首こり専門コース四十肩・五十肩専門コース腰痛専門コース足・膝専門コース体幹コンディショニング

 

 

 

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。